
瀬戸内産業芸術祭とは
「産業芸術」
芸術とは本来、絵画であれ彫刻あれ、日常を違った視点で見せてくれるもの。何気ない日常の風景も、絵画にすることで、いつも見ている景色が違って見える。
日本の産業を支える工場も、違った視点で見せることで、アートとなり、訪れた人の感性を揺さぶる体験となる。
瀬戸内産業芸術際は、この「産業=アート(産業芸術)」をコアコンセプトに、工場が主役の分散型美術館を実現します。
瀬戸内産業芸術祭は、この「産業芸術」をコアコンセプトに、瀬戸内エリアに広がるさまざまな産業を新しい観光の形・体験の場として提供し、ものづくりの楽しさ、素晴らしさを未来の世代へ繋いでいきます。
瀬戸内産業芸術祭は、国土交通省が推進するレガシー形成事業の一環として、造船、石材業、鉄鋼業、食文化など、瀬戸内地域に根付く多様な産業を、非日常の視点で産業の本質的な役割や魅力を発見していただく新たな取り組みです。
工場を「美術館」として再構築し、産業現場とアーティストが協力して、ものづくりの知恵や思想を芸術作品として表現することで、訪問者に新たな発見を促します。また、プロジェクトを通じて、地域の持続可能な発展と文化的価値の創造にも寄与することを目指しています。
本プロジェクトを通じて、参加企業は自社の価値観や技術力を広く発信し、地域社会への貢献を一層強化する機会を得ることができます。そして、これにより産業の魅力が発信されることで、新たな人材の採用や地元振興にもつながることが期待されます。さらに、本モニターツアーを通じて得られた知見やフィードバックを活かし、2026年の正式開催に向けて内容のさらなる充実を図ってまいります。
企業と地域が一体となって成長し、新たな価値を創出する場としての役割を果たすことを目指して取り組んでまいります。
※ 国交省 観光局 地域・日本の新たなレガシー形成事業 (https://shorturl.at/pYwSR)
※ 瀬戸内産業芸術祭事務局は設立準備中。
開催の経緯
瀬戸内産業芸術祭は、日本が抱える課題を解決する可能性を内包する活動である。国内では深刻な少子高齢化が進んでおり、GDPの低下もとどまることなく進行している。このままでは50年後には、日本の存続自体が心配される事態だ。
過去を遡れば、戦後日本における経済成長は製造業を主とし、国内で製造した商品を世界中で販売することに成功した。製造業こそが日本のGDPを支え、国を豊かにしてきた。
翻って現在、日本の製造業も30年以上の長い停滞期にある。自動車産業を筆頭に、多くの製造業が日本から撤退し、隣国、中国へと拠点を移した。今や中国は「世界の工場」として不動の地位を確立した。またアメリカや中国の株式市場で最も評価される企業の多くは新興製造業——宇宙産業から電気自動車、蓄電池、半導体まで多岐に渡る製造事業であることは言うまでもない。日本には製造業を支える十分な人材と知恵があるにも関わらず、過去20年間の新興企業のほぼ全てはEコマース、あるいはSaaSであり、GDPを向上させるどころか、経済を「最適化」する企業ばかりであった。
一極集中の東京では製造業を営むことはできない。新規創設となれば、あらゆる観点から困難を極める。製造業の地方進出は必須条件なのである。それに伴い、新たなエコシステムが創出されていく必要がある。製造業の進出先に多くの資本が投下され、それが雇用を生み、サプライチェーンを構築し、経済が活性化していく。新興の製造業が盛んになることで、GDPへの貢献はもとより、地方に優秀な高所得人材が集まる。すると、彼ら彼女らがより多くの子供を育てる計算ができる。厚生労働省の附属機関(国立社会保障・人口問題研究所)によると、日本人口は平均で子供を2人から3人生まないと増加を見込めないと言われている。東京で80平米のマンションの販売価格が1億円を超える時代を迎えた私たちにとって、家族5人を支える住居は高所得者の特権になり代わった。東京の一極集中回避が製造業の復権の鍵を握るとともに、新興の製造業の従事者が日本中に分散することで、同じ年収でも120平米から150平米の住宅に住むことができ、子供を育てやすくなる環境が得られる。GDPを上げ、あらためて製品を世界に輸出し、外貨を稼ぎ、豊かな経済成長を根底から取り戻す。そのためにも、日本人が本来得意であるものづくりを新たな産業創出と位置づけるべきである。
瀬戸内産業芸術祭は、ひとりでも多くの方に日本の産業やその産業がもたらした文化についてより深く知っていただくための芸術祭である。アートの力を借りて、産業の本質をより面白く、わかりやすく、違った視点で伝えるのが瀬戸内産業芸術祭の最大の特徴だ。参加する企業の工場やプラントは分散型美術館の機能を併存させ、訪問者を迎え入れる。そして、アートは、変哲のない見慣れた風景を違った視点から見せてくれる。アートの特異な力を借りることで、複雑あるいは取っ掛かりがつかみにくい製造業の仕組みを一般の方々にも興味深く、わかりやすく伝播させることができる。次世代の子供たちにも、瀬戸内産業芸術祭の参加企業を訪れてもらい、ものづくりをより身近に感じ、大人になる頃の1つの夢や目標にしてもらいたい。
工場やプラントが建設される場所にも意味がある。土地ごとの固有性、すなわち風土とは、人々の生活や行動規範、思想を規定する下地になるだけではなく、一個人を超えて、さまざまな形となって発展していく。瀬戸内地域では、陸路ではなく海路が重宝されたことから造船及び鉄工業が盛んになり、眼前に広がる内海から海水を引き入れ加工する製塩業もかつて自然発生的に生まれた。造船業も製塩業も、瀬戸内海という文化的、歴史的要衝となった内海がなければこの地に存在し得なかった。ともすれば産業とは、平均化、画一化などの側面をもつグローバリゼーションの対極に位置し、土地の個性を体現する象徴的な存在だと言い換えることができる。
産業芸術祭は、現地でしか見られない風景を通じて、歴史や文化の浸透を図るきっかけになる。工場運営者には、子供たちを含め多くの人を受け入れる限りは、魅せられる工場を運営してもらいたい。社会的な責任と持続可能な経営をバランスし、働く従業員の方々にも誇りを持ってその仕事を披露してほしい。
参加企業一覧(五十音順)
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ナイカイ塩業株式会社
瀬戸内の産業の歴史にとって、塩はこの土地の風土をそのまま生かしている産業といえます。ナイカイ塩業は、それをまさに体現している企業です。ナイカイ塩業では、古くから伝わる塩田の頃からの技術をベースにした製法で、殺菌などを行わず、自然な状態でしかも安全に食塩に仕上げています。
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株式会社パワーエックス
パワーエックスは、系統用大型蓄電池を中心とした製品とサービスを提供する次世代のエネルギーカンパニーです。蓄電池システムや電気輸送ソリューションを提供し、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献しています。目に見えない電気を可視化する作品を特別展示いたします。
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株式会社宮原製作所
瀬戸内は、古くから造船の歴史が根付く街でした。瀬戸内には多くの造船会社、またはそのサプライチェーンがあつまっています。宮原製作所もその一つです。宮原製作所は、そんな巨大な生産物を、1ミリをさらに下回る超高精度で仕上げる、まさに日本が誇る緻密で高品質な製品を作られている会社です。
クレジット
制作協力
衣装提供
TS DESIGN
https://tsdesign2008.com/
家具製作(宮原製作所 展示)
SET UP CO.,LTD
https://setup-tokyo.jp/
施工(PowerX 展示)
Studio inc.
https://www.studio-inc.co.jp/
照明計画・機器提供(PowerX 展示)
ModuleX Inc.
https://www.modulex.jp/
展示計画
SYMBOL PLUS
https://symbol-plus.com/
エンジン音提供(宮原製作所 展示)
北星海運
https://www.hokuseikaiun.co.jp/
運営
総合プロデューサー
佐竹正基(PowerX)
プロデューサー
嶋明良(PowerX)
モニターツアー運営
長島聡(きづきアーキテクト)
岡村智明(きづきアーキテクト)
運営サポート
古山雄一(PowerX)
上戸翔太(PowerX)
上田卓矢(PowerX)
Fendi Chen(PowerX)
アドバイザー
平垣内久隆(公益財団法人 日本海事センター)
アートキュレーター
山口栄一(一般社団法人 アートパワーズジャパン)
山口裕美(YYARTS)
写真・映像(作品・工場)
腰塚光晃(MORE VISION)
写真・映像(工場・制作過程)
大滝洋之(BRIGHTLOGG)
増渕舞(BRIGHTLOGG)
ツールデザイン
たきコーポレーション
プロジェクト マネジメント
杉浦戦(ERGO SUM)
展示アドバイザー
磯谷博史(美術家)
ロゴデザイン
亀井研二(PowerX)
WEBデザイン
門内拓海(PowerX)
令和5年度岡山県玉野市レガシー形成事業
「瀬戸内産業芸術祭」統括委員会出席者(一部)
国土交通省中国運輸局長
益田 浩 氏(※)
玉野市市長
柴田 義郎 氏
伊藤 正裕
(株式会社パワーエックス取締役兼代表執行役社長)
※令和5年度レガシー形成事業「瀬戸内産業芸術祭」統括委員会開催時の中国運輸局長
妹島 和世 氏
(建築家/パワーエックス PowerBase 設計者)
長谷川 祐子 氏
(金沢 21 世紀美術館 館長)
中山 理映子氏
(日本政府観光局理事)
竹内 千尋 氏
(前志摩市長/地域経済振興)
国吉 誠 氏
(SMBC ファイナンスサービス株式会社元副社長/地域経済振興)
平垣内 久隆 氏
(公益財団法人日本海事センター理事長)
小野 哲治 氏
(株式会社中国銀行 取締役常務執行役員)
金野 幸雄 氏
(一般社団法人 創造遺産機構(HERITA)理事 )
下 義生 氏
(Optiflow株式会社代表取締役社長)
長島 聡(きづきアーキテクト株式会社 代表取締役)

目線が変わると、
景色が変わる。
新しい気づきを、探す旅。
瀬戸内産業芸術祭運営コミッティでは、ツアーに参画いただける協賛企業様を募集中です。
参画企業様の産業を、運営コミッティが総合プロデュースし、期間限定の産業芸術館に仕立てます。
その他、気になることがございましたら、ご連絡お待ちしております。